生物を寄せ付けない放射線廃棄物のカクテル「カラチャイ湖」

カラチャイ湖

米国の環境問題に取り組むワールドウォッチ研究所に「地球上で最も汚染された場所」と称された湖がロシアに存在する。その名は「カラチャイ湖」。別名、イレンコの熱い湖・テチャ川とも呼ばれる水の汚染レベルは、魚や哺乳類などの生物はもちろん人間が立ち入ってはいけない場所になっている。

放射性廃棄物の処理地として使われた経路

カラチャイ湖カラチャイ湖の正体、それは「放射性物質の廃棄処理地」である。1940年代、ソビエト連邦はナチスからの侵略を防ぐために軍事的に核技術施設「マヤーク」を建設。

核兵器の再利用には、燃えた燃料の集合体を再処理する必要がある。この工程で生じた低・中レベルの放射性廃棄物をカラチャイ湖へ流していたのだ。(1949〜1956年)湖には、セシウムやストロンチウムといった物質が次々と流され、まさに放射性廃棄物のカクテル状態だったという。

1957年、ウラル核惨事でさらに悪化する

ウラル核惨事の跡地1957年には、32年間ソ連が隠してきた原子力の爆発事故「ウラル核惨事」が起こる。放射性廃棄物を貯蔵していたタンクが大爆発を起こしてしまったのだ。

これにより、約70トンもの廃棄物を1マイル(約1.6km)に噴射。マヤークの技術者は安全性を全く考慮していなかったのだ。

地元民は次々に被爆

カラチャイ湖周辺ウラル核惨事が起こり、すぐ近くの都市チャリンビンスク(後のオジョルスク)が汚染。住民達のおよそ65%が罹患状態となった。

さらに、マヤークの存在が認知された時点で現地のガン罹患率は21%上昇、先天性欠損症が25%、白血病は41%にまで上昇したという。

現在はセメント(コンクリート)で埋め立てへ(1970〜)

カラチャイ湖の埋め立て

image credit:Grist

1990年、研究者の調査により岸に1時間でも立っていると致死量に達することが判明した(600レントゲン:放射線量)。

カラチャイ湖の魚
カラチャイ湖の魚

image credit:Sometimes Interesting

当時、湖では奇形化した魚も現れたが、現在はセメントで埋められ、Google Earthの地図を見ても分かるようにコンクリートの状態になっている。

カラチャイ湖の位置:ロシアのウラル山脈【地図】

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2017年11月1日

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