瞬きする世界一美しいミイラの少女「ロザリア・ロンバルド」の謎

ロザリア・ロンバルドの棺
ロザリア・ロンバルド(Roadtrippers

ミイラといえば、古代エジプトから伝わる技法で死者の遺体を保存したもの。乾燥化することで白骨化してしまうのが一般的だが、イタリアのある納骨堂にこの常識を覆してしまうほど美しい状態で保存されたミイラがいる。

彼女の名前はロザリオ。「世界一美しい奇跡のミイラ」と呼ばれている少女なのだ。

世界一美しいミイラの少女・ロザリオ・ロンバルドとは

ロザリオ・ロンバルド写真に映る少女が、ロザリオ・ロンバルド(Rosalia Lombardo)本人だ。この世を去ってから既に100年近くが経過し、現地では「世界一美しいミイラ」・「眠れる森の美女」などと呼ばれている。一体なぜミイラに。そしてなぜこんなにも綺麗な状態なのか。

ロザリアはなぜミイラにされたのか?

ロザリアの父親-マリオ・ロンバルドと母親マリア

母マリアと父マリオ

1920年、当時2歳(1歳11ヶ月)とまだ幼かった彼女は肺炎で亡くなってしまう。イタリアの将軍だった父親マリオ・ロンバルドは、彼女の魂を残したいと願いミイラ化することを希望したのだ。

専門家、アルフレッド・サラフィアによりミイラ化される

アルフレッド・サラフィアこの希望に応えたのが、遺体保存の専門家であるAlfredo Salafia(アルフレッド・サラフィア)氏だ。秘密主義と伝えられていた彼は、ロザリアの遺体を自分だけが編み出した特殊な方法でミイラ化したと伝えられている。

ミイラはイタリアの地下納骨堂に保存される

イタリアの地下納骨堂-カプチン・フランシスコ修道会現在ロザリアのミイラ体は、イタリアの都市・パレスモにあるカプチン・フランシスコ修道会に納められている。

ここには地下納骨堂が設備されており、なんと約8,000体以上もの遺体が収容されているという。

そのほとんどが白骨化している中、ロザリオのミイラだけは生前とほぼ変わらない。ガラスの棺の中でまるで生きてるかのような姿で横たわっているのだ。世界一美しいミイラ-ロザリオ・ロンバルド胸に置かれた写真のような物は、母マリアからのお守りだと言われている。残念ながら、ロザリアがミイラ化された後すぐに遺族達は全て亡くなってしまい、墓参りする人もいなくなったという。

なぜこんなに綺麗なのか、驚くべきレントゲン写真

ロザリオ・ロンバルドのレントゲン写真研究者たちはあまりに保存状態の良い彼女の体に驚き、様々な分析を試みる。これはロザリアのレントゲン写真だ。ミイラは一般的に脳や内臓・体に流れる血液を取り除いた上で、布を何重も巻いて保存する技法が最もポピュラーと伝えられている。

しかし、驚くべきことにロザリオの脳や胃・肝臓などの臓器は、そのまま綺麗な形で残されているのだ。普通100年近く経とうとしているミイラにはありえないことだという。ロザリオ・ロンバルドのレントゲン写真

目を瞬きするような写真が捉えられる

ロザリオ・ロンバルド研究者たちはロザリオの保存方法の謎を解くため、彼女の上部に1時間に1度撮影されるカメラを取り付けた。すると、とんでもない写真が映された。

彼女の目が開き、まるで瞬きをしているかのような瞬間が残されていたという。ロザリオ・ロンバルドの瞬きロザリオ・ロンバルド彼女がなぜ瞬きをしたのか、本当にしたのか。などの理由は一切解明されていない。だが、これまで謎とされていた少女の保存方法が2009年、ついに解明される。

2009年、保存方法が明らかに

アルフレッド・サラフィア

医師:アルフレッド・サラフィア氏

彼女をミイラ化して保存したのは、遺体専門家のアルフレッド・サラフィア氏である。秘密主義だった彼は周りにその方法を伝えなかったそうだが、2009年の調査であるノートが見つかる。
それがこちらだ。
アルフレッド・サラフィアのカルテノート見つけたのはイタリアの生物人類学者であるダリオ・ピオンビーノ=マスカリ氏。
保存したサラフィア氏の2番目の妻。その子孫の手元にあったというのがこのカルテノートだ。

確かに斜体ローマ字でAlfredo Salafia(アルフレッド・サラフィア)と記載されている。

書かれていたのは「遺体を永遠に保存する新しい方法」。

アルフレッド・サラフィアが使った薬品このカルテノートには英語で「遺体を永遠に保存する新しい方法」と書かれていたという。

その保存方法とは、アルコールやグリセリン(湿潤)・塩化亜鉛(腐敗防止)・サリチル酸(菌繁殖の防止)などの薬品を体内に注射。

さらに当時発明されたばかりのホルマリンを体内に注射し、顔の頬にはパラフィン(ろうそくの原料)を注射したという。これにより顔をふっくら残すことができたのではないかと推測されている。

なぜこのような保存が処置されたのか。

研究者の間では、娘を想った父の想いと医師の願いがこのミイラを後世に残したとされ、「世界一美しいミイラ」として今もその体を維持している。

ちなみに現在イタリアでは、ミイラを作ることは禁止されている。日本では明治自体からミイラを作ることが禁止されているが、冷凍保存が一般的なアメリカでは研究者達がこの保存方法を絶賛したという。

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