産業の発達を原因として、人により排出された二酸化炭素やメタンなどの“温室効果ガス”が世界で増え続けているという。国際機関のIPCCによると、この温室効果ガスを主原因に2100年には地球の平均温度が最大4.8℃も上げると推測されている。
各国ではポスターやイラスト・募金運動などでこの地球温暖化に注目してもらうための活動が進んでいるが、身近な所にも地球温暖化の危険性を訴えるデザインアートがあることをご存知だろうか?
これらの作品には、生態の維持や海面上昇に目を向けてもらうための様々なメッセージが込められている。ここではそんなアーティストの熱い作品達を見ていこう。
1,地球温暖化が信じられない人(イギリス:2009年)
イギリスで活動する覆面の壁画アーティストBanksyは、2009年にロンドンで開かれた気候変動会議に参加。その直後に描いたのがこの「地球温暖化を信じない。」というテキストの壁画アートだ。
文字の半分は河の水に浸かっている状態で、温暖化が信じられない人=そういうことになるよ。というメッセージが表現されている。
2,川から伸びる2本の手(イタリア:2017)
イタリアで活躍する彫刻アーティストLorenzo Quinnは、2017年に開催された国際展覧会、ヴェネツィア・ビエンナーレでこちらの作品を出展。
川から伸びる2本の腕は「気候変動の悪化によって、我々もいずれこうなる。」ということを表現しているそうだ。
3,約1000体の溶解人間(ドイツ:2009)
ブラジルのビジュアルアーティスト、Néle Azevedoはベルリンの広場ジャンダルメンマルクトでこのMelting Men(溶解人間)を約1000体配置。彫刻されたヒト型の氷が30分間かけてじわじわ溶けて崩れていく様子が表現され、注目を浴びたという。
4,セーヌ川に置かれた巨大鯨(フランス:2015)
フランス、パリのセーヌ川には長さ30メートルほどの鯨の建造物がある。パリで開かれた気候協議(COP21)当日に合わせて関係者の手で建設されたもの。
温暖化や捕鯨により絶命の危機に晒されている鯨を印象づけるために制作されている。ちなみにモデルは100年前に捕獲されたブルーベルという名の鯨だそうだ。
5,何もしないスーツな人達(イギリス:2015)
イギリスの彫刻家、ジェイソン・デケアーズ・テイラーがロンドンのテムズ川に造った彫刻作品。4人のビジネススーツをきた男達が水に埋まる動物にまたがりながらボケーッと何もしない様子を表現している。
ちなみにこの彫刻のすぐ近くには国会議事堂があり、意図的にこの場所を選んだそうだ。
6,溶け出したスーパーマン(シンガポール:2012)
シンガポール美術館にあるスーパーマンが溶け出している彫刻は、Mojoko氏とFoenander氏の2人のデザイナーによる作品。
この彫刻で伝えたいメッセージは、「スーパーヒーローはいつまでもスーパーヒーローというわけではない。スーパーマンが溶けている未来には私たちの未来もない。」ということを表現しているという。
7,温暖化に無関心な人は溺死していく(スペイン:2014)
スペイン生まれの彫刻家アイザック・コーダル氏による作品。気候変動による海面上昇に目を当ててもらうべく、温暖化に無関心な人々が水に沈んでいく様子が表現されている。
8,テムズ川の巨大な北極シロクマ(イギリス:2009)
イギリスのテレビチャンネル「Eden TV」が新番組の開設に合わせて建設した北極熊の彫刻。縦横の長さは約6メートルとされ、重さは約1.5トンもあるという。
温暖化により北極熊の数と生息地が減少していることを訴えており、テムズ川の上に浮くように設計されている。
製作には2ヶ月かけ、15人のアーティストによって造られたそうだ。
9,グアナバラ湾のゴミから造られたイルカ(ブラジル:2015)
2016年にはオリンピックも開催されたブラジルのリオデジャネイロだが、そこにあるグアナバラ湾は死ぬほど汚染されていることで有名だ。
この作品はリオデジャネイロ連邦大学の学生により造られたもの。人が捨てたゴミによって魚達が苦しんでいる様子を描いている。
10,氷河を眺める裸の600人(スイス:2007)
大人数の裸を芸術に昇華させるアメリカの写真家スペンサー・チュニックによる作品。国際環境保護の団体「グリーンピース」が温暖化の認識を広めるために行った運動で、撮影には約600人が参加したという。
見ての通り、写真では裸になった人間が氷河を一丸に見つめ直す姿が表現されている。
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